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【決定版】外部環境分析を正しく行う方法

事業戦略や製品戦略を考えている方、分析力を高めたい方へ

この記事を読んでいる皆さんは、次のような悩みや疑問を持ったことがありませんか?

外部環境を考慮して戦略を立てなさいと言われてもよくわからない

外部環境を分析する意味あるのかよ・・・

PEST分析とかFiveForce分析をやってもあまりうまくできない・・

この記事ではこういった悩みに答えていきます。

記事を書いている僕は、新卒でコンサルティングファームに入社し、数多くのプロジェクトを経験しています。事業戦略や、デジタル戦略など多くの戦略を立ててきた経験を持っています。その経験から、外部環境がなぜ重要か、実施する上でのポイントなどに関して解説したいと思います。

それでは、「外部環境分析を正しく行う方法」について解説していきます。

1.外部環境分析とは何かを知る

戦略やマーケティングプラン、中期経営計画を作ったりするときには、外部環境の変化を捉えて考えることがとても大切です。ここでは、そもそもなぜ外部環境を分析するのか、何がわかれば良いのかについて解説したいと思います。

  1. 外部環境分析を行う目的
  2. 外部環境分析の概要

外部環境分析の目的

みなさんは外部環境分析では、「経済的な変化や、人口の変化などの社会的変化を分析すること、競合や市場の現状や変化を捉えて、自社にとってのチャンスやピンチになりそうなことを把握することだ」ということは、なんとなくご存知だと思います。

でもなぜ外部環境分析が大切なんでしょうか。それは、今のビジネス環境は数十年前よりも目まぐるしく変化してきているので、外部環境の理解なしに、自分たちが進むべき方向を定めるのは困難になってきているからなんです。

 

例えば、インターネットが出てくる以前は、情報が伝わるまでに数日かかったり、アメリカにある情報と日本にある情報には大きな違いがありました。しかし、インターネットが普及して、一家に一台パソコンを持つようになり、今では一人一台iPhoneに代表されるスマートフォンを持っているわけです。スマホによって、僕たちはアマゾンで商品を買ったり、携帯で動画をみたりするようになりましたよね。

このようなネットの発展をみてわかるように、世の中の変化のスピードはどんどん加速していますし、様々な技術が開発され、新しいサービスもどんどん出てきている中で、外部環境を知らないままだとどうなるでしょう?

間違いなく企業は製品を作ったりサービスを作ってもうまく売れないでしょうし、競合にシェアを奪われて事業が立ち行かなくなるはずですよね。

 

つまり、不確実性の高いビジネス環境の中では、企業が勝つ方法は、「企業ができるだけ効率よく利益を生むことができる市場で戦うこと」が大切になっているんです。この考え方の歴史的な背景は、ポジショニング論という考え方で、マイケルポーターなどがこの考え方の代表選手として提唱しています。彼らは、企業の繁栄は、競合や市場環境の中で、自社が適切な市場で適切に戦うことで成し遂げられるという考え方をもとに、理論を作っています

外部環境分析は、この考え方をベースにしているので、自分たちの会社がどんな環境の変化に晒されていて、どんな競合やどんな消費者のいる環境でビジネスをしているかまずはしっかり理解しよう!というのが目的になります。

 

外部環境分析の概要

外部環境分析には大きく2つの分析方法があるので簡単にご紹介します。

  1. マクロ環境分析
  2. ミクロ環境分析

マクロ環境分析

まずはマクロ環境分析の定義から見ていこう

マクロ環境とは、事業の外部環境のうち、企業にとって統制不可能、つまり業界内の各企業とは無関係に起こっているものをいいます。具体的には、政治的(Political)環境、経済的(Economic)環境、社会的(Social)環境、技術的(Technological)環境の四つです。この四つのマクロ環境を分析することを、それぞれの頭文字を取ってPEST分析といいます。例えば、円高や規制緩和などは、企業の戦略策定に大きな影響を及ぼします。また、人口構造などは、ターゲット市場の量的な長期動向を把握する有効な指標となります。ー出所:JMR総合生活研究所(https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my08/my0846.html

つまり何かと言うと、自分たちではコントロールできない、政治的な変化や、経済的な変化のことを指します。詳細はこの後に解説しますが、人口の減少や、TPPへの参画、日米平和条約の交渉など、企業が自分たちで決められない変化のことを言います。

こう行った変化をしっかり捉えて、市場がどう変わっていくか、どんなチャンスが出てくるか考えようぜ!ということなんです。このブログでは、マクロ環境分析の代表であるPEST(EL)分析について解説してきますね。

 

ミクロ環境分析

ミクロ環境とは、企業の事業環境のうち、準統制可能なものをいいます。ミクロ環境は、大きく市場と競合に大別されます。これらには具体的に、対象となる市場の規模、成長性、競争状況、流通チャネルの構造、顧客動向などが含まれます。ミクロ環境を企業の周辺の環境、マクロ環境はミクロ環境の外側にある環境と言うことができます。市場分析には、製品ライフサイクルやマーケット・セグメンテーション、ロジャースのイノベーター理論などが用いられます。一方、競合分析には、業界を分析するファイブ・フォース、戦略グループを分析する戦略グループ・マップなどが有用です。ー出所:JMR総合生活研究所(https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my08/my0846.html

これは、企業がある程度影響を与えられる事業環境です。例えば、競合の動きや、市場にいる消費者の行動などが当てはまります。例えば、カレー業界であれば、ハウス食品が新しいカレーを出せば競合であるS&Bが新製品を出しますし、その動きによって、消費者が何を買うのか、何を食べるのかが変化していきますよね。このように、自社が競合や消費者の行動によって起きる変化を、ミクロ環境と呼びます。

このブログでは、ミクロ環境分析の中で代表的なFive Force分析を解説していきます。(詳細は後ほど詳しく説明しますね)

 

マクロ環境分析とミクロ環境分析の関係

この2つは非常に密接しているので、外部環境分析を行うときは、必ずマクロ環境分析とミクロ環境分析を同時に行うことが必要になります。

なぜ密接に関係しているかというと、マクロ環境の変化がミクロ環境に大きく変化を与えるからです。これが、どういうことは具体的に例を紹介しますね。今回は、車の自動運転の例で見ていきましょう!

 

従来の自動車業界のプレイヤーといえば、TOYOTA、日産、マツダ、スズキなどのプレイヤーが戦っていました。しかし、マクロ環境変化の1つであるテクノロジーの発展によって、今自動運転がとても盛り上がってますよね。この領域になると、TOYOTAの競合が従来の日産やマツダなどに加えて、Googleになってきていますよね。これって、ありえない変化ですよね!自動車メーカーとテクノロジー企業が競合になる。

つまりこれは、テクノロジーの発展というマクロ環境の変化が、競合や市場、消費者のニーズなどの市場を変化させて、つまりミクロ環境を変化させたということですよね。

 

だから、外部環境分析を行うときには、必ずマクロ環境の分析、ミクロ環境の分析、マクロ環境の変化がミクロ環境に与える変化について分析しないと、外部環境を正しく理解できないんです。

 

2.外部環境分析を正しく行う方法

では、具体的にマクロ環境分析の代表格である、PEST(EL)分析と、ミクロ環境分析の代表であるFive Force分析のフレームワークについて理解を深めていきましょう。

マクロ環境分析:PEST(EL)分析

【概要】

マクロ環境分析の代表格はPEST分析です。今回PEST(EL)と書いているのは、PESTだけでは検討しきれない、Environment(環境変化)Leagal(制度や条例、ルールの変化)も考慮するために含めています。

私の大学院時代には、PESTELで学びましたし、実際こちらの方が網羅レベルは高いと思います。

各要素でどのようなことを把握しなければ行かないかというと、次の図のような質問に答えていくことがポイントになります。

【目的】

PESTELの目的は環境変化の中で、どの環境変化が、自社が戦っている市場における変化のドライバーとなるのか?いう問いに対して答えを出すことです。ただし、PESTELだけの分析では、この問いに対して答えを出すことが出来ません。必要なものは、市場環境の現状理解が不可欠なのです。そのためには、このあとご紹介するFive Forceの章で合わせて具体的に説明します。

【使い方】

  1. 要素ごとに今何が起きているのか、今後何が起きるのか?という情報を簡単に調査する
  2. ざっと調べた情報の中で、自事業に特に関係のありそうな変化をピックアップし、
    統計データや、記事検索を活用して、詳細を調べる
  3. 自事業が戦っている市場に対して、最も変化を引き起こしやすい環境変化を抽出する
    抽出する軸は、(不確実性×変化が起きた時の影響度)で、抽出する

なぜ、このようなステップとを取るかというと、短い時間で重要な変化をいち早く把握するためです。

 

PEST(EL)分析のゴールは、自社の戦っている市場に変化を起こすドライバーが何か、ということを知ることがゴールになるので、全ての要素に時間をかけて調査していても効率が悪いんです。

だから、まずは全体感を掴むために、Google検索などでざっくり各要素に対して情報をインプットします。

その後で、このあと紹介するFive Force分析を使い、今の市場を把握し、どのようなマクロ環境が自社の戦っている市場に影響を与えるのかを考えた上で、その要素を深掘りしていくことが大切です。

 

マクロ環境分析:PEST(EL)分析

【概要】

Five Force分析は、マクロな環境変化を把握するために用いるビジネスフレームワークです。

 

 

【目的】

このビジネスフレームワークの目的は、自社が戦っている市場の環境を分析し、現在戦っている市場の利益は取りやすいのか?戦っている市場での自社の取り分は増えるのか?という問いに対して答えを出すために使います。

【使い方】

  1. 顧客とサプライヤーが誰なのか特定する
  2. 顧客とサプライヤーのバイイングパワーを特定する
  3. 業界内の競合、新規参入の可能性がある企業、代替品(同じニーズを満たす製品 / サービス)を特定
  4. 競合、新規参入と、代替品の脅威の程度を特定する
  5. PESTEL分析の中で、市場構造に変化を与えるドライバーを抽出する

 

まずは現在戦っている市場の利益は取りやすいのか?を検討するために必要なステップの1、2について解説していきますね。

1:顧客とサプライヤーが誰なのか特定する

まずは、顧客とサプライヤーが誰なのかを把握しましょう。例えば、ハウス食品を例にとると、顧客はAEONなどの小売店、大手外食品メーカーなどになり、サプライヤーはじゃがいもやスパイスを取り扱っている商社がサプライヤーになります。

このように、自社の製品を製造して販売するまでの流れを意識して、顧客、サプライヤーを特定するのがまず最初の1歩となります。

 

2:顧客とサプライヤーのバイイングパワーを特定する

次に、特定した顧客とサプライヤーに対して、バイイングパワーを理解していきます。バイイングパワーの特定には大まかに下記の質問に対してYESの場合、強いと判断できます。

・顧客:顧客は簡単に仕入先を他の企業に変えることができるか?
・サプライヤー:独占的で、他のサプライヤーに変えることは困難か?

 

顧客に関しては、例えば、食品メーカーのハウス食品でいうとAEONやイトーヨーカドーなどのスーパーです。彼らは販売チャネルとしての力が強い(つまり、自社がその販売チャネルに依存している度合いが高い)ほど、商品を置いてもらうためにリベートを支払ったり、低価格での納入を求められ、販売価格の押し下げやコスト高となるため、自社にとっては、市場は利益が取りづらい構造にあると判断できます。

 

サプライヤーに関しても、YKKのようなデファクトスタンダードから部品を仕入れている企業は、言い値での仕入れとなってしまい、自社にとっての原価を押し上げてしまうことになるため、収益性の悪化につながり、市場は利益が取りづらい構造にあると判断できます。

 

 

次に、現在戦っている市場の中で、自社の取り分は増えるのか?を検討する方法として3、4を解説していきますね。

3:業界内の競合、新規参入の可能性がある企業、代替品(同じニーズを満たす製品 / サービス)を特定

業界内の競合、新規参入してくる企業、代替品について分析をしていきます。先ほどの自動車業界を例にとり、今回はTOYOTAについて考えてみましょう。TOYOTAの場合

  • 競合:日産、マツダ、BMW、メルセデス
  • 新規参入:Google、Apple、AmazonなどのIT企業
  • 代替品: Uberなどのシェアリングサービス

というように把握していきます。

さらにここから、ブランド別やエリア別などでさらに分解して深掘りをして行ったり、競合に勝っている部分と負けている部分がどこかということも見ていき、競合や新規参入についての理解を深めていくことが大切になります。

参考:深掘りするためのオススメの質問集
  • どこの製品群では競合よりシェアが高いか
  • 競合よりシェアの高いまたは低い要因はなにか(開発頻度の多さ・投資の多さ、減量調達の効率性、製造プロセスの効率性、マーケティングのうまさ、営業の強さなど)
  • 同じニーズを満たしている製品は何か?
  • どのような技術を持つ企業が新たな競合(新規参入)となるか?

 

4:競合、新規参入と、代替品の脅威の程度を特定する

脅威の特定には、大きく下記の2つの質問に対してYESの場合、脅威となります

  • 戦っている市場の競合の数、主要プレーヤーのシェアは自社より大きいか?
  • 戦っている市場への参入障壁は低いか?
  • 戦っている市場の製品・サービスと同じニーズを満たす製品は多いか?

競合に関しては、シェアが高い企業が多数存在していれば、利益の取り分は小さくなります。

 

参入障壁に関しては、例えば、ネットゲームなどは低いですよね。固定費が小さく、ネットがあればサービスを構築できるため誰でも参入しやすく、真似されやすいです。参入障壁が低いと、プレイヤー数が多くなるため、市場も大きくなりますが、取り分は小さくなる可能性があります。

 

代替品が多い場合、例えば、カフェ市場を考えた時に、カフェは「ゆっくりくつろいで、おしゃべりできる場所」というニーズを満たしていますが、これはサイゼリヤや、ホテルラウンジ、漫画喫茶も代替品としては存在するかもしれませんね。このように、代替品が多く存在すると、消費者が流れやすくなるため、市場として少ない消費者を取り合う形になるので、利益の取り分が小さくなる可能性があります。

 

5:PESTEL分析の中で、市場構造に変化を与えるドライバーを抽出すること

将来的に、どの環境変化が、これまで見てきた各要素(顧客、サプライヤー、競合、新規参入、代替品)に対してどのような変化を与え、市場構造がどのように変化していくのか?という視点で分析が必要です。

 

例えば、今ではすっかり変わりましたが。CD業界を例にとるとわかりやすいですね。CD業界にとっての、変化のドライバーの一つは、「デジタル技術の進化」でした。

昔は、CDを買ったり借りたりして、MDなどに録音して、ウォークマンで聞くという形で、音楽事務所と、再生機器を売っている企業が買っていました。しかし、iTunesやSpotifyの新規参入が起きたこと、スマホが出てきたことで、音楽は買うものではなく、聞きたい時に聞きたい曲をスマホのストリーミングで聞くという構造になり、プラットフォーマーが勝つようになりました。

 

このように変化のドライバーを把握して、自社にとってのチャンスや脅威を特定することが、環境変化分析の最終目的です。この点を意識して分析で活用してほしいと思います。

3.まとめ

記事で解説してきたことを最後にまとめておきます。

・外部環境分析の方法

・PEST(EL)を使って、外部環境の概要を把握する
・Five Force分析を使って、市場の理解を深める
・PEST分析の中で、どの変化が市場に大きな変化を与えるか理解する
・その上で、企業としての脅威や機会がどこにあるか特定する